生い立ち
- 2006年愛媛県愛南町生まれ。
- 幼少期よりプログラミング、科学、教育に関心を持つ。
代表:澤近大地
東京大学教養学部理科一類
2026年10月より、東京大学Ubuntureは新たなMissionとして、「Youth are Our Future」を掲げます。
これまで、私たちの活動の主な対象は、18歳以下の子供たちでした。もちろん、子供たちへの教育活動は、これからもUbuntureの核であり続けます。一方で、これまでの活動をあらためて振り返る中で、私たちが生み出そうとしているものは、子供たちへの学びだけではないことに気づきました。そこには、子供たちと向き合い、課題を発見し、異なる背景を持つ人々と協働しながら、未来をつくろうとする若者たちの成長があります。
この考えに至った背景には、2025年度の南アフリカでの現地活動があります。現地で活動する中で、私たち日本人だけでは、どうしても現地の子供たちが置かれている状況を十分に理解することができず、また、単発の訪問だけでは継続的に活動していくことにも限界があると感じました。その一方で、訪問した南アフリカの大学では、多くの大学関係者の方々に温かく迎えていただきました。そこで私たちは、大学という場には、現地の課題を理解し、継続的に向き合い、新しい価値を生み出していくための大きな可能性があると感じました。
そこで2026年から、私たちは新たなパートナーシップ構想を進めています。それは、東京大学の学生と南アフリカの大学生が対等な立場で協働し、現地の課題に向き合うモデルです。南アフリカの学生が持つ現場に根ざした視点と、東京大学が持つ学術的な知見。それぞれの強みを持ち寄り、現地の課題をともに考え、学び、解決策をつくっていく。これは、私たちがこれまで行ってきた「日本から南アフリカへ」という一方向の活動ではありません。両国の若者がともに学び、ともに考え、ともに未来をつくるための国際協働です。
そして、大学生の周囲には、大学教授、企業、大使館をはじめとする公的機関など、さまざまな立場から協力してくださる方々がいます。子供たちの学びを中心に据えながら、その周囲に大学生が集まり、さらに大学・企業・公的機関などの多様なセクターが関わっていく。私たちは今、子供たちに向き合うことを起点とした、大きな国際協働の枠組みをつくろうとしています。この枠組みは、子供たちの教育環境を変えるだけではありません。そこに参加する若者自身が、異なる文化や価値観を持つ人々と協働し、自ら課題を発見し、行動する経験を通じて、主体性や国際的な視野を身につける機会にもなり得ます。
国際情勢が不安定化し、国境を越えた協働の重要性が増す今、グローバルサウスとの関係を、単なる「支援する側」と「支援される側」という構図から捉え直すことが必要だと私たちは考えています。その中でも、南アフリカは、アフリカ大陸における経済・教育・研究の重要な拠点の一つです。
そのため、日本と南アフリカの大学生が、ともに課題に向き合い、学び、成長することには大きな意味があると考えています。さらに、その過程に大学、企業、行政、そしてさまざまな人々が関わることで、新たな協働や価値が生まれていきます。だからこそ、私たちは「Youth are Our Future」というMissionを掲げます。
もちろん、私たちが目指す第一の目的は、これからも変わらず、子供たちの成長と、教育格差の是正です。その実現のために、子供たちへの教育を起点として、若者、大学、企業、行政など、多様な主体がともに未来をつくる取り組みへと発展させていきます。東京大学Ubuntureは、その連携関係を生み出す存在でありたいと考えています。これからも、世界の仲間たちとともに、新しい仕組みと価値を生み出すため、活動をリードしてまいります。
代表 澤近大地
東京大学教養学部理科一類 / Ubunture 代表(創設者)
愛媛県愛南町――私の故郷は、山と海に抱かれた小さな町です。近くに大きな図書館も公園もなく、自然が私の遊び場でした。祖父から季節の読み方や道具の作り方、罠の仕掛け方を教わりました。体当たりで学ぶうちに、やがて川エビや魚、山菜を自分の手で捕まえられるようになりました。家の前の川や裏の山は最高の学習スペースでした。自然の中にはたくさんの素材があっても、人が作った道具はほとんどありません。だから、ないものは自分で作る。この、先人の知恵を借りながら工夫する即興の精神が、私の幼少期を形作りました。同世代の友人に囲まれ、優しい近所の人々に支えられて、本当に幸せな日々を過ごしました。
それでも、その世界が時々狭く感じられることもありました。町の境界線が、私の宇宙の限界を決めているようでした。そんな私の世界を、インターネットとコンピュータが一夜にして広げてくれました。たった一度の検索が、まだ見ぬ場所、最先端の研究、工程が視覚化された魅力的な科学の世界へと私を導いてくれたのです。特にプログラミングには魅了されました。頭の中のアイデアが、コードを通じて画面上で現実のものになる。ICTは私の世界を劇的に広げてくれました。
町の端にある小さな保育園から、より大きな小学校へ。それでも私はもっと先へ進みたかった。私は一人で町を出て、松山の中学校に進学することを選びました。私の世界は広がり続けました。友達を誘って出かけ、歩き、自転車に乗り、バスやフェリーを乗り継ぎ、時には泳いで、県境を越えて山や海へと向かいました。毎日がエキサイティングでした。幼い頃から、新しい世界に触れることほど私をワクワクさせるものはありませんでした。
高校生になると、私はICTの力を活用して、様々なプロジェクトに取り組みました。
そんな高校時代、私はある児童養護施設を訪れました。そこである男の子が、私が持参した科学の本に夢中になり、目を輝かせていました。その瞬間、学びは誰にでも本物の笑顔をもたらすことができるのだと確信しました。一冊の本、一度の学習体験が、困難な環境にある子どもの表情を明るく変えることができる。その光景を目にして、かつて私の世界を広げてくれたのと同じ喜びを、もっと多くの子どもたちに届けたいと強く思いました。
資源には限りがあります。私の町には図書館がなく、すべての場所にすべての知識を置くことはできません。だからこそ、テクノロジーが世界を変えるものであり、現に変えつつあるのだと信じています。インターネットやAIは、より多くの人々に知識を届け、新しい世界への扉を開くことができます。すべての人に教育を届けるためには、革新的なテクノロジーと、それを使いこなす力が必要です。その強い信念を胸に、私は工学を学ぶために東京大学に推薦入試で入学しました。
大学では活動の幅を広げました。能登地域では、NPOや学生団体と協力して、地域格差に対処しながら高校生の支援活動を行いました。電通の社会課題プログラムでは、学術、テクノロジー、環境、歴史、スポーツなど、多様な分野を探究しました。また、教育の基礎について学び議論するために、東京大学で自主ゼミ「探究学習を考える」を立ち上げました。
その頃、のちに現地コーディネーターとなる友人の笠井凜心が、留学中に見たヨハネスブルグの学校の様子を共有してくれました。同じ地域にありながら、ICTや豊かな学習にアクセスできる子どもと、そうでない子どもがいました。私自身も調査を行い、これらの格差の背景にある構造的な原因と、それが子どもたちの未来に与える深刻で長期的な影響を明らかにしました(詳細は 「ヨハネスブルグにおけるICT教育格差と国際比較」(PDF) を参照)。
私は行動を起こさなければならないと感じました。もしICTが私の人生を変えたのなら、今度はその力を次の世代に届ける手助けをすべきだと。このアイデアを共有すると、ICT、国際協力、グローバル問題、教育に関心を持つ多くの友人が集まってくれました。彼らのサポートと助言を得て、私たちは学生団体「Ubunture」を立ち上げました。かつて自然が教えてくれたように、望む未来がまだそこになければ、自分たちの手で作り出せばいい。南アフリカでの本格的な活動に向けて準備を進める今、この精神が私たちの活動の核心にあります。
21世紀になっても戦争や対立が絶えないのは、人々がお互いの世界を本当には知らないからだと私は考えています。知ることは人にとって欠かせない力であり、本質的に楽しいことです。自分の知っていることとは異なるものを発見し、自分とは異なる人々に出会うことは、深く興味をそそられます。困難な時に自分だけの小さな世界に閉じこもってしまうと、生活が難しくなります。だからこそ、私は世界を広げる力を届けたい。単にGoogleで検索したりTikTokを見たりするだけでなく、ICTを自分自身の手で使いこなす力です。子どもたちにその力を届けること――人生のスキルとして、また他者を理解する知性として――が私の人生の目標です。このプロジェクトは、その夢への第一歩です。
Ubunture代表(創設者):澤近大地